May 17, 2019 / 5:24 AM / a month ago

海外経済回復に時間要すれば、企業の投資スタンス慎重化も=日銀総裁

[東京 17日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は17日、都内で講演し、海外経済は当面減速の動きが続くものの、持ち直しに転じてくるとの見通しを示した。ただ、海外経済の持ち直しに予想以上に時間を要するような状況となれば、企業の投資スタンスが慎重化していく可能性があることに留意が必要と指摘した。

 5月17日、日銀の黒田東彦総裁は、都内で講演し、海外経済は当面減速の動きが続くものの、持ち直しに転じてくるとの見通しを示した。写真は日銀本店で会見する同総裁。昨年10月に撮影(2019年 ロイター/Issei Kato)

その後の質疑では、独自の通貨を持つ国の政府は政府債務残高がどれだけ増加しても問題はないとする現代金融理論(MMT)が日本の財政・金融政策に当てはまるとの見方は「全くの誤りだ」と否定。日銀による国債買い入れは財政ファイナンスではないと強調した。

<海外経済、当面減速も持ち直しに転じる>

黒田総裁は、減速の動きがみられる海外経済について「このまま一方的に悪化していくとはみていない」とし、「当面減速の動きが続くものの、持ち直しに転じてくる」との見方を示した。

その上で、日本経済は「海外経済が持ち直すまでの間、内需が堅調を維持する必要がある」と述べ、景気の先行きを見通すうえでのポイントに内需の持続性を指摘。「鍵を握るのは設備投資の動向」との見解を示した。

これまでは設備投資計画に海外経済の減速の影響を「はっきりとみてとることはできない」としながらも、「海外経済の持ち直しに予想以上に時間を要する状況となれば、製造業を中心に企業の投資スタンスが慎重化していく可能性には留意が必要」と語った。

物価については「景気の拡大や労働需給の引き締まりに比べると弱めの動きが続いている」ものの、「現状を過度に悲観する必要はない」と語った。

消費者物価(生鮮を除く)の前年比が1年以上にわたって1%近い水準を維持していることは「日本経済にとって大きな変化」とし、「プラスの需給ギャップを起点に現実の物価が上昇し、それが予想物価上昇率の高まりに繋がるという、物価安定の目標に向けたモメンタムは引き続き維持されている」と説明。時間はかかるが、消費者物価は2%に向けて徐々に上昇率を高めていく、との見通しを示した。

<政府と中央銀行の意思疎通は必要>

金融政策運営では、4月の金融政策決定会合で政策金利に関するフォワードガイダンスを修正し、「当分の間、少なくとも2020年春頃まで」に明確化したことを説明。このガイダンスは「経済・物価情勢に応じ、その時点までに得られたデータや情報を用いて判断する仕組みである」とし、情勢次第では「この期間(2020年春頃)を超えて現在の低金利を維持する可能性が十分にある」と語った。

質疑では、財政政策と金融政策の関係に関する質問が出た。米国を中心に論争が起こっているMMTについて総裁は「自国通貨建ての政府債務はデフォルトすることがないため、財政政策にあたっては財政赤字や債務残高を考慮する必要ないと言っていると理解している」と整理し、こうした考えは「極端な主張であり、米国の学会を含めて広く受け入れられていない考え方」とあらためて表明した。

中央銀行による無制限の財政ファイナンスは「必ずや高インフレをもたらし、その収束のために経済に大きなダメージを与えるということが歴史の教訓だ」とも語った。

日本の財政・金融政策がMMTを実践しているとの見方に対しても「MMTという言われる理論が正しいとは思わないし、日本がMMTの政策を実施しているとは全く思わない」と強く否定。

政府の財政運営は「財政赤字や債務残高を全然考慮していないというスタンスでは全くない」とし、日銀の金融政策も「最も適切なイールドカーブの形成を促すように市場から国債を買い入れている。これは物価安定のために必要であり、財政ファイナンスでは全くない」と強調した。

他方、「金融政策も財政政策と並んでマクロ政策の一環だ」とし、「政府と中央銀行が十分な意思疎通を図る必要があるということも広く認められている」と付言した。

*内容を追加しました。

清水律子 伊藤純夫

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