January 10, 2019 / 7:53 AM / 2 months ago

日銀支店長会議、貿易摩擦の影響じわり 現時点では限定的

[東京 10日 ロイター] - 日銀は10日、地域経済報告(さくらリポート)を公表し、全9地域のうち、北海道と中国の2地域で景気判断を引き上げ、他地域を据え置いた。出席した支店長からは、米中貿易摩擦が地域経済に与えている影響について、現時点では限定的ながらも、中国向け生産用機械や電子部品などで受注下振れを指摘する企業が増えていることなどが報告された。不安定化する金融市場の動向を含めて、リスクはじわりと拡大している。

 1月10日、日銀は、地域経済報告(さくらリポート)を公表し、9地域のうち、北海道と中国の2地域で景気判断を引き上げた。写真は都内で2016年9月撮影(2019年 ロイター/Toru Hanai)

北海道と中国は、地震や豪雨など自然災害の影響により、前回調査で判断を引き下げていたが、復旧・復興が順調に進んでいることを踏まえた。2地域の景気判断を同時に引き上げるのは、2018年4月以来。他の7地域の判断は据え置いた。

今回のさくらリポートでは「輸出が増加基調にあることや、労働需給が着実に引き締まりを続け、個人消費が緩やかに増加するなど、所得から支出への前向きな循環が続いている」との従来通りの景気判断に続いて、「米中貿易摩擦をはじめとする海外経済の不確実性の影響については、現時点では限定的なものにとどまっているが、受注の下振れなどを指摘する声は徐々に増えている」との「ただし書き」が加わった。

日銀幹部は「資本財関連や電子部品関連から受注下振れなどの声が多く聞かれた」と説明。昨年10月の前回調査では、先行き不透明感や警戒感を示す声が多かったが、今回の調査では、受注減として顕在化してきた格好だ。

具体的には、中国向け生産用機械の受注が「秋以降、急速に減少してきている」(金沢)、「工作機械はこのところ受注が弱含んでいる」(松本)、「中国向けの電子部品は、このところ強気の発注が影を潜めている」(秋田)などの声が聞かれた。

また、スマートフォンの出荷低迷を理由にした大手半導体メーカーの設備投資の先送りから「東アジア向け半導体製造装置の輸出の増勢鈍化」(横浜)の声もあった。

さらには、松江の電気機械メーカーから「予定していた能力増強投資を当面延期する」との声があったほか、秋田のメーカーからも「新工場への生産設備の導入は当面見送る」など、設備投資面への影響を指摘する声もでている。

こうした受注減の動きについて、日銀幹部は「直接的に米中貿易摩擦の影響と断定的に語っている先はほとんどない。米中貿易摩擦に起因するのではないかと推測するコメントが中心」としている。

株式市場の大幅な下落については、一部で富裕層の購買動向を懸念する声があったものの「個人消費全体への影響は大きなものになっていない」(日銀幹部)という。個人消費の判断は全9地域で据え置かれた。

会見した山田泰弘大阪支店長(理事)は、市場動向について「日米欧ともに株価のベースとなる企業収益の見通しは総じてしっかりしており、経済のファンダメンタルズに大きな変化はみられていない」としながら、「金融市場の動きが当地の経済に与える影響については、引き続き注意深くみていきたい」と語った。

また、清水季子名古屋支店長は、年末・年始の市場の動きについては、心配する声があったものの、「現状、円高で何か影響あるとの声までは聞いていない」という。そのうえで、「今後、米中貿易摩擦など海外経済の動向がどの程度の影響を及ぼすのか、年末・年始に進んだ円高の影響も含めて、雲行きを見極めていく必要がある」と述べた。

*内容を追加しました。

清水律子 伊藤純夫

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