October 15, 2020 / 3:34 AM / 7 days ago

コラム:米ウォール街、アジアや欧州に比べ遅れる職場復帰

 米ウォール街のトレーダーは「リスク」を引き受けることが生計の道だ。写真はニューヨーク証券取引所前で2008年9月撮影(2020年 ロイター/Lucas Jackson)

[ニューヨーク 12日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米ウォール街のトレーダーは「リスク」を引き受けることが生計の道だ。しかし新型コロナウイルスのパンデミックを抑えるために導入されている措置で、例えば職場のデスクに戻って新型コロナ感染の危険を冒すべきかどうかといった判断は、自らコントロールできない。中国、あるいは東京でさえ、ニューヨークに比べると現在オフィスで働く人はずっと多い。ある人には「安全最優先」に聞こえることも、別の人には不満の種になる。

ゴールドマン・サックス(GS.N)を例に挙げる。事情に詳しい関係者の話では、ニューヨークにある同社オフィスで職場復帰を果たした従業員は全体の5分の1ほどにすぎない。片や中国では基本的に全員がオフィスに戻り、日本と香港でも復帰率はそれぞれおよそ70%と50%に達した。ジョンソン英首相が新たな規制を打ち出したロンドンですら、従業員の3分の1近くは在宅勤務を切り上げている。

他の金融機関もゴールドマンと傾向は変わらない。職場復帰レベルは各地域の新型コロナ感染状況に左右されている状態だ。感染者が増加し続けているインドの場合、外資系金融機関では現地拠点の最小限の人員以外は、実質的に全員在宅勤務態勢が続く。衛星利用測位システムのトムトムのデータは、より俯瞰的な視点を提供してくれる。北京では、最近の交通渋滞度がパンデミック以降で初めて昨年を上回り、ロンドンも渋滞が再び起こりつつあるが、ニューヨークは以前に比べてまだ道路がはるかにすいている。

英シンクタンクのZ/Yenグループと中国総合開発研究院(CDI)の調査に基づく今年の世界金融センター指数リポートによると、さまざまな金融業界で働く人の大半が将来予想として、オフィスよりは自宅勤務の割合が高まると想定している。ただし地域別に見ると、北米ではそうした予想の程度はアジアなどとたいして変わらない。西欧の回答者が、勤務時間全体の約6割は在宅だろうとの見通しを示したのが際立っている。

これはニューヨークの金融業従事者がマンハッタンのオフィスに戻りたくて仕方がない実情を示しているのかもしれない。対面方式で働くメリットとしては、毎日ずっと家の中にいないで済むだけでなく、人脈形成や企業文化の強化も挙げられる。ただ「リスク」の評価を専門のなりわいとする人々にとって、恐らくかつての日常に近い状態がすぐに訪れることはないだろう。

●背景となるニュース

*ジョンソン英首相は12日、国内の新型コロナウイルスの感染状況に応じて3段階の規制を適用し、イングランドの一部ではパブの営業を禁止するなどの新たな方針を打ち出した。各地でばらばらに導入され、複雑で混乱を招くことがしばしばだった規制措置を標準化する狙いだ。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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