January 27, 2019 / 6:22 AM / 4 months ago

コラム:大活躍の「物言う投資家」、今年はより複雑な局面に

[ダボス(スイス) 22日 ロイター BREAKINGVIEWS] - アクティビスト(物言う投資家)は規模が拡大し、活動も活発化しているが、2019年はより複雑な波を乗り切る必要があるかもしれない──。今月にニューヨーク、パリ、ロンドンで開催された「Breakingviews Predictions」イベントでは、こうした見通しが示された。

 1月22日、アクティビスト(物言う投資家)は規模が拡大し、活動も活発化しているが、2019年はより複雑な波を乗り切る必要があるかもしれない。NY市のウォール街で3日撮影(2019年 ロイター/Shannon Stapleton)

アクティビストは仏蒸留酒メーカー、ペルノ・リカール(PERP.PA)、英バークレイズ銀行(BARC.L)、米ユナイテッド・テクノロジーズ(UTX.N)など、さらに大きな標的に挑むようになった。しかし大株主の要求はさらに広範に及ぶようになっている上、買収を手掛けるプライベートエクイティ(PE)企業が対抗勢力として切り込んでくる可能性もある。

ラザードの調査によると、アクティビストが標的とした企業は昨年226社と過去最多を記録し、動員した資金は650億ドルに及んだ。カール・アイカーン氏やサード・ポイントのダニエル・ローブ氏など、大半は依然として米国の投資家だ。しかし活動の約4分の1は欧州企業を対象に展開されている。

アクティビストが投資の主流に躍り出たのは、かつては不可侵と見られた多国籍企業にも挑みたいという投資家の意欲の表れだ。今年最もアクティビストの標的になりそうな上場企業を尋ねたところ、ニューヨークのイベントでは過半数の出席者が米アップル(AAPL.O)、パリでは仏ルノー(RENA.PA)、ロンドンではドイツ銀行(DBKGn.DE)を挙げた。

多国籍企業を標的にできるようになったのは、大手機関投資家が積極的に動くようになったことが一因だ。その多くは水面下で行動を起こす。欧州最大のホテルチェーンを展開する仏アコーホテルズ(ACCP.PA)のセバスチャン・バザン最高経営責任者(CEO)は「彼らは臆病ではないが、表立って声を挙げるのは望まない。自らの代理としてアクティビストに意見や委任状を託す」と語った。

幅広い投資環境の変化も一役買っている。表層的には、インデックス型ファンドへの資金流入の増加により、株主は以前より受け身になったように見えるかもしれない。しかしブラックロック(BLK.N)やステート・ストリート(STT.N)といった巨大資産運用会社は大きな議決権を握っている。イベントの出席者からは、この結果、アクティビストは一握りの巨大機関だけを説得すれば変化を起こせるようになったとの指摘が出た。

一方、伝統的なファンド運用会社は手数料を正当化しようと、積極的に行動するようになっている。ラザードによると、昨年アクティビストの運動に関与したファンド131本の約3分の1が、いわゆる新規参入組だった。

ただ、株主価値の向上がますます重視される中、他の金融機関もアクティビストの運動に興味を持つようになっている。一部の買収企業は、口うるさいアクティビストとは違う友好的な選択肢として自らを企業に売り込んでいる。ニューヨークのイベントに出席したTPG(TPG.L)のジョン・ウィンクルリード共同CEOは「アクティビストの襲来を恐れ、PEとの交渉に関心を示す企業」があると話した。

しかし企業とその株主は最近、業績の向上以外にも目を向けるよう迫られている。従業員と顧客の扱い、環境基準の順守、幅広い社会的責任など、あらゆる面を精査されているのだ。こうした目標は投資業界の短期的な関心と相反することがある。アクティビストが企業のコスト削減や不振事業の売却を迫る場合には、なおさらだ。

とはいえ、こうした要因によってアクティビストの力が完全に削がれるわけではない。一部のファンドは長期間株式を保有しており、短期的に株価を上げて売り払うという、一般に流布しているイメージとは異なる。しかもアクティビストは、企業統治の向上を求めることは、流行のESG(環境・社会・企業統治)投資と整合的だと指摘している。

もっとも、他の資産運用会社と同じく、アクティビストも究極的には投資家にリターンをもたらす必要がある。この点では、景色はまだら模様だ。ヘッジ・ファンド・リサーチがまとめたアクティビスト指数は過去1年間で7.4%下落し、米S&P総合500種株価指数をアンダーパフォームした。アクティビストが巨大化、活発化するなら、標的とする企業に要求するのと同水準の結果を出す必要があるだろう。

●背景となるニュース

・ロイターがロンドン、パリ、ニューヨークで開いた「Breakingviews Predictions」イベントでは、欧米におけるアクティビスト投資家の興隆について討論した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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