April 7, 2020 / 8:21 AM / 2 months ago

コラム:見えない緊急事態宣言の「出口」、延長ならGDP大幅減に

[東京 7日 ロイター] - 政府が7日に緊急事態宣言の発令を決めるが、1カ月間で本当に終了するか極めて不透明だ。どのような条件をクリアすれば、緊急事態宣言を解除できるのか、どこにも明記されておらず、だれも明言していない。5月6日以降も延長されるなら、日本の国内総生産(GDP)は4─6月期にマイナス20%を超える可能性もある。期間延長なら、その直後から緊急経済対策の第2弾策定が浮上するだろう。予断を許さない状況が続きそうだ。

政府が7日に緊急事態宣言の発令を決めるが、1カ月間で本当に終了するか極めて不透明だ。どのような条件をクリアすれば、緊急事態宣言を解除できるのか、どこにも明記されておらず、だれも明言していない。写真は2013年2月、東京の首都高速で撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

安倍晋三首相は7日の衆院議院運営委員会で、緊急事態の終了時期について、専門家の意見を聞き、適切に判断したいとした。しかし、この「適切に判断」という言葉だけでは、どのような状況になれば「終了」するのか、一般の国民には分からず、予見可能性が低い状況が続いていると言える。

予想されるのは、東京都など緊急事態宣言の対象になった7都府県における感染者の増加数が減少ないし頭打ちの傾向を示した時ではないかということだ。

<わからない感染の実態>

だが、東京では感染経路を追えない感染者の数が9割を占め、クラスターを探し出して、つぶしていくこれまでの厚生労働省などのやり方は、完全に壁にぶつかっている。どこにどれだけの感染者が広がっているのか、ほとんどわからないまま対応していると言える。

PCR検査の実施数が欧米などに比べ、圧倒的に少なく、感染実態が把握できていないことが、ここにきて大きなネックになろうとしている。

日本での1日当たりの検査数は2000件に達せず、安倍首相は6日に検査能力を従来の2倍の2万件に引き上げると述べたが、現在も検査能力の1万件の5分の1以下しか検査が行われていない。原因の究明が喫緊の課題だ。

<1カ月以内の感染基調鈍化、至難の業>

このような状況で、1カ月以内に感染者の増加数をピークアウトさせるのは「至難の業」と思われる。したがって専門家に聞けば、5月6日時点での緊急事態宣言の終了は「時期尚早」と言われるだろう。

また、日本の法的枠組みでは、緊急事態宣言の下でも欧米のような都市封鎖(ロックダウン)を強制することができない。また、東京都が6日に示した例示では、工場の操業を認めており、人と人との接触の大幅な低下という目的に照らした場合、今回の緊急事態宣言では、目立った効果が出ないのではないかとの危惧も、専門家の中にあるという。

<期間延長なら、国民に落胆の声>

一方、宣言の対象となる都府県に住む多くの人々は、大型連休を「自宅待機」で過ごし、政府の説明する1カ月後を希望の光として我慢しようとしているに違いない。特に飲食店や観光、運輸、イベント関連などに従事している方々にとっては、緊急事態の期間延長は死活問題になっている。

多くの国民が、資金繰りも含め、先々の生活の行方を想定できるように「予見可能性」をもっと高めなれけば、大型連休後に予想される「落胆」の大きさは量り知れないだろう。

<イエレン氏も大幅マイナス成長に警鐘>

期間の延長は、安倍首相も懸念していたと思われる経済への打撃を一段を大きくすることに直結する。

米国では、ニューヨークなどでの「移動制限」により経済活動が大幅に制約され、ゴールドマンサックスは米国の4─6月期GDPが、前期比・年率マイナス24%に落ち込むと予想。中にはマイナス30%と予測するところもあり、米連邦準備理事会(FRB)前議長のイエレン氏は3月30日、米国での失業者が急増し、4─6月期は同マイナス20%を超える恐れがあると警告した。

日本では、19年10─12月期から同マイナス7.1%とマイナス成長に転落。20年1─3月期も大幅なマイナス成長を予想する見方がエコノミストから出ている。ここに緊急事態宣言が加わり、その期間が延長されて2カ月間になれば、米国と同様の大幅なマイナス成長に転げ落ちる可能性が高まる。

<連休明けに第2弾求める声も>

政府が7日に閣議決定する経済対策は、事業規模が108兆円、財政支出が35兆円と過去最高。だが、緊急事態宣言で営業自粛を求められた業種などを中心に資金の「枯渇」が急速に進むとみられる。財政支出35兆円はGDPの6-7%に過ぎず、移動制限が継続されれば、2─3カ月で再び、資金不足が深刻化しかねない。

このため、生活に困窮する人々を対象にした現金30万円の給付が行われる5月下旬を待たず、大型連休の明ける5月上旬から中旬にかけて、与党内から緊急経済対策の第2弾を求める声が湧き上がってくると予想する。

肝心なのは、政府の緊急事態宣言と都府県の自粛要請の結果、失業者が急増することを回避することだ。

政府は雇用調整助成金が中小企業なら、給与の9割を国が補てんする仕組みになっていると力説するが、先行きを展望できない経営者が従業員を解雇してしまえば、この助成金を活用できない。

実際、九州地区の著名な観光施設が非正規社員を解雇したと報道され、こうしたケースでは雇用調整助成金は活用されず、今のままでは救済が難しい。

7日の東京市場では、政府の緊急経済対策への期待感が広がった。しかし、感染者の増加ペースが鈍化しなければ、緊急事態宣言の期間延長ということも覚悟すべきだ。

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編集:石田仁志

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