January 28, 2019 / 5:04 AM / in 8 months

コラム:転機迎えたダボス会議、世界の将来予想失敗の反省を

[ダボス(スイス) 25日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 世界経座フォーラム年次総会(ダボス会議)に世界各地から集まった政治指導者、企業幹部、金融機関首脳らエリートの気勢が上がらない。

1月25日、世界経座フォーラム年次総会(ダボス会議)に世界各地から集まった政治指導者、企業幹部、金融機関首脳らエリートの気勢が上がらない。写真はダボス会議のロゴ。ダボスで23日撮影(2019年 ロイター/Arnd Wiegmann)

今回、ダボス会議では景気減速や怒れる民衆、先端技術を巡る対立などを心配することに大半の時間が費やされた。そうしたムードは、お門違いの楽観論が漂っていた前年と実に対照的に映る。ただし1つの重要な要素は変わっていない。

それは、ダボス会議の参加者たちが次の展開を予測する能力に関して非常に強い自信を持っていることだ。

1年前、ダボス会議の参加者は万事順調だと感じていた。世界の大半の地域で経済成長はしっかりしていたし、当選したばかりのマクロン仏大統領は「フランスは立ち直っている」と宣言。イタリアで反既成政治の政権が樹立しようとされていた動きは重視されず、サウジアラビアのムハンマド皇太子は先見の明を持つ改革者とみなされた。トランプ米大統領でさえ、その職にふさわしいとの声が聞かれた。

こうした期待を込めた見方の一部は今年になって訂正を迫られた。ダボス会議の参加者がスイスの空港に降り立ったかどうかの段階で、国際通貨基金(IMF)は世界経済見通しを3.5%に引き下げ、米中貿易摩擦がもたらす悪影響に警鐘を鳴らした。トランプ氏とマクロン氏は、それぞれ国内の政治停滞と反政権デモに対処するため、妥協を強いられた。

サウジの代表者は、反体制記者ジャマル・カショギ氏殺害事件でダメージを受けた各国との外交関係修復に力を注ぎ、イタリアのポピュリズム(大衆迎合主義)連立政権を率いるコンテ首相は、ダボスの聴衆に向けて国民を第一に考えるよう訴えた。

今年はほかにもたくさんの懸念要素があった。特にマクロ経済の議論を支配したのは中国経済の減速で、昨年の成長率は6.6%に下振れた。米国との関税合戦が一因ではあるものの、多くの専門家は、中国経済がさらに鈍化すると予想。それが今度はドイツなど輸出国の先行きに影を落としつつある。

ダボス会議の意気消沈ぶりは、各国の自業自得によって助長された面もあった。例えば米国では、ポンペオ国務長官のビデオメッセージが公表された時点までに、政府機関の一部閉鎖が35日に及んでいた。米国の政策金利はなお低く、ユーロ圏に至ってはマイナスにとどまっているため、中央銀行として深刻な経済ショックに見舞われても打てる手はは乏しい。

非公式の議論で主題となったのは、ハイテクだ。政治家は一斉に、巨大IT企業がデータ使用に節度を持たず、あまりに納税額を少ないと批判。フェイスブック(FB.O)のサンドバーグ最高執行責任者(COO)も、ソーシャルネットワークが顧客の信頼を失っている現状を認めた。

中国の華為技術(ファーウェイ)の梁華会長は、同社がスパイ行為をしているとの見方を否定するために登場した。

もっとも何人かの企業幹部は、幾筋かの希望を見出した。結局のところ、ダボス会議というのは間違った思い込みをするという点で特異な才能を持つからだ。実際、米中両国が3月の交渉期限までに新たな関税をかけるのを避ける道を回避できたり、英国が何とか混乱なく欧州連合(EU)を離脱すれば、情勢はすぐに良い方向に転じてもおかしくない。

ところがいつまでも変わらないのは、ダボス会議の参加者が抱く自信満々の姿勢だ。彼らにはある程度の謙虚さが望まれるだろう。

何しろ2016年1月の会議では、ブレグジット(英のEU離脱)やトランプ氏が共和党の大統領候補指名を受けることなど、ほとんどの参加者が予想できなかった。トランプ氏の大統領就任は言わずもがなだ。そして1年後、ダボス会議ではトランプ氏は現実的な指導者になると主張されたが、当のトランプ氏は就任演説で外国の経済的脅威などによって米国民が「ひどい目に合う」という現実離れした考えを披露した。

なぜダボス会議の世界観に歪みが生じるのか、説明するのはたやすい。参加者の圧倒的多数は、それぞれ政治、企業、金融、教育などの分野のエリートに属しており、お互いの意見を認め合いたいという誘惑には抗しがたい。だから反対意見はまれだし、抑えめになる。

ダボス会議が権力ネットワークが具現化した存在であることに変わりはない。多くの人は、自分たちが目にしたいものがそこにあると期待し、ダボスに引き付けられる。だが議論の結果、先行きを正しく見通せていないことが証明されている以上、参加者は反省すべき時期にとっくに差し掛かっている。

●背景となるニュース

*世界の政治指導者や企業トップなどは22─25日に、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に参加した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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