April 22, 2019 / 6:20 AM / a month ago

コラム:補選連敗は想定内、首相の同日選判断左右する公明党と国内景気

[東京 22日 ロイター] - 21日投開票の衆院補欠選挙は、自民党の2連敗だった。ただ、政権中枢にとって、この結果は想定内だったのではないか。逆に与党内からは、「衆参ダブル」の選挙にすることで、野党側をばらばらにし、与党の絶対多数を維持できるとの期待感が台頭しそうだ。問題となるのは、連立与党・公明党の動向と、衆院解散の大義名分だろう。

 4月21日、同日投開票の衆院補欠選挙は、自民党の2連敗だった。ただ、政権中枢にとって、この結果は想定内だったのではないか。写真は安部首相。1月にロッテルダムで撮影(2019年 ロイター/Piroschka Van De Wouw)

2つの補欠選挙のうち、衆院沖縄3区では、野党各党が支援した無所属候補が自民党候補に1万7000票余りの差をつけて当選。大阪12区では、日本維新の会の候補が、自民党の候補らを抑えて初当選した。

第2次安倍政権の発足後、補欠選挙で敗北するのは、不戦敗だった2016年の衆院京都3区を除くと初めて。安倍首相は22日朝、欧州・米国訪問を前に記者団に対し「今夏の参院選に向け、今一度身を引き締めていかなければならない」と述べた。

ただ、政府・与党内には、今回の2連敗は想定内の展開という受け止め方が少なくないようだ。沖縄県内では、名護市辺野古への基地移設に反対の声が大きく、当初から野党系候補のリードが伝えられていた。

また、大阪では統一地方選前半戦で、大阪維新の会が府知事・市長の大阪ダブル選を制し、府議選と市議選でも議席を伸ばした。その勢いを補選にも呼び込み、「弔い合戦」の自民党候補をリードしていることが事前の世論調査で判明。補選の2連敗は予想されていたようだ。

一方、「勝てる時期」に衆院解散を打てるのが、首相が行使できる典型的な権力の1つだ。2020年になれば、世界経済のサイクルが下降している可能性が高まる。東京五輪の開催もあり、衆院解散の時期に制約が生じる。

また、五輪閉幕後は、衆院議員の任期である2021年10月21日まで1年余りとなり、「伝家の宝刀」である衆院解散の政治的な威力も次第に低下していくことになる。

このように考えると、今年6月のG20(20カ国・地域)首脳会議以降、年末にかけてが、戦術的にみた「解散の好機」とも言える。

沖縄3区の補選結果を見ると、参院1人区に野党が統一候補を立てた場合、与党側が勝利するためのハードルは上がることになる。野党側の準備は大幅に遅れているものの、32選挙区の1人区における取りこぼしが多くなれば、参院選後の政府・与党の政局運営が厳しくなるのは間違いない。

衆参同日選に持ち込み、野党の勢力集中を防ぐことができれば、衆参ともに圧勝できるというのが、政府・与党内にある「衆参同日選の待望論」だ。

ただ、この実行には、2つの大きな障害がある。

1つは公明党内の反対論だ。今回の大阪ダブル選では、自民党と連携した公明党が大きな打撃を受けた。公明党は衆院小選挙区では大阪府内で5選挙区、兵庫県内で2選挙区の議席を有している。

大阪の5選挙区に維新の会が候補者を立てた場合(前回選挙では自民、維新とも立候補見送り)、議席を失う可能性が出てくる。年内の解散には抵抗感が強い。

また、公明党の反対を押し切って衆院選に突入した場合、公明党による小選挙区での支援が弱くなるリスクも抱えることになる。そのリスクを覚悟しても、衆院選に突入して得られるリターンが大きいと考えるのかどうか。解散を決断するうえで「思案のしどころ」になるのは間違いない。

さらに衆院解散には大義名分が必要になる。「令和」の時代になっても、大義名分なしに解散すれば、権力の乱用と批判され、選挙で敗北する可能性が高いだろう。

そこで、何を大義名分にするかという点に焦点が当たる。北方領土交渉が進展していない現状では、外交上の「カード」は見当たらない。

内政に目を転じれば、萩生田光一・自民党幹事長代行が言及した消費増税の延期問題がある。政府・与党内から反対論が噴出したが、安倍首相が決断したら、延期されるのではないか。

ただ、その決断には、客観的な理由が必要ではないか。今年1─2月は中国の景気減速に端を発し、米企業業績の先行きにも黄信号が点滅した。

しかし、中国政府の景気支援策の発表後、中国の経済指標は改善の動きをみせ、米景気の指標や企業業績も上向き、市場の一部では、10連休明け後の日経平均.N225は2万3000円台に上昇するとの声も出始めた。

萩生田氏が言及した6月日銀短観は悪化ではなく、横ばいないし小幅上昇になるとのエコノミストの見方もある。

景気が好転していく中で、消費増税を延期することが合理化できるのか──。ここでも大きな問題に直面しそうだ。

いずれにしろ、衆院解散と同日選の可能性がゼロになるということではない。最終的には安倍首相の決断次第だ。安倍首相の「本音」が、どこににじむのかをじっくり見ていく必要がありそうだ。

編集:石田仁志

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