April 28, 2019 / 10:59 PM / in 6 months

焦点:平成日本はどんな時代か、3世代が語る「過去と未来」

[東京 24日 ロイター] - 「平成」の31年間は、バブル後の景気低迷、大規模な自然災害、ITの進化、そして、日本が一度も戦争をしなかった時代として語られることが多い。

では、国民一人一人は、どのような喜びや悲しみ、不安を感じたのだろうか。ロイターは、異なる3つの世代へのインタビューを通して、平成がどのような時代だったのか検証した。

<戦争体験>

82歳の二瓶治代さんは、何十年間も戦争の記憶を封じ込めていた。母子が生きたまま空襲の炎に焼かれ、自分自身も逃げようとした人たちの死体の下敷きになり、妹の体には火傷にウジ虫がわいていた。思い出すのも辛い記憶だ。

しかし、第2次世界大戦の終結からほぼ60年、天皇陛下の即位から13年が経った2002年、彼女は戦争体験を語ろうと決めた。約10万人が犠牲となった1945年3月10日の東京大空襲について伝える戦災資料センターを訪れたことが、きっかけとなった。

戦争末期に8歳だった自分の経験を話すことによって、二瓶さんは、平和な時代しか知らない今の子どもたちに戦争の恐ろしさを伝えることができるのではないかと考えている。

「今の子どもたちは、戦争を全く知らない。それは素晴らしいことだけど、日本が70数年前まで戦争をしていた、その時のことを知らないと、また間違った道に行ってしまうんじゃないか、そういうことは常に思っている」と二瓶さんは、ロイターのインタビューで述べた。同センターで開催された子どもたちに戦争体験を語る会に参加するところだった。

現在の天皇陛下にとって、戦争の悲劇を忘れないようにすることは、最優先の使命だった。戦争では、兵士たちが天皇陛下の父、昭和天皇の名の下に戦い死んでいった。

二瓶さんは、天皇陛下が戦没者慰霊のため、数々の戦地を巡礼されてきたことを感謝し「サイパンに行かれた時の天皇、皇后両陛下の後姿がテレビに映ったのを見て、昭和天皇の犯した罪を彼らが本当に申し訳なかったと思ってらっしゃる、それが出ていて感動しました」と話す。

ただ、今の子どもたちにとって、今後ますます戦争が遠い世界の話になっていくのではないか、と二瓶さんは危惧している。「過去をしっかり勉強して、それを未来につなげてもらいたい」と彼女は言った。

<バブル崩壊>

52歳の齋藤賢治さんにとって、平成は劇的な変化と解放、そして新たなチャンスとの出会いだった。

4月24日、ロイターは、異なる3つの世代へのインタビューを通して、平成がどのような時代だったのか検証。写真左はシステムエンジニアとして働いていた山一証券が破綻後、ラーメン店を開業した52歳の齋藤賢治さん、中央は19歳の大学生、原田百合さん。左は戦争を体験した82歳の二瓶治代さん。すべて4月撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung-hoon/Issei Kato)

1997年11月、当時システムエンジニアだった齋藤さんは、夜勤明けに出向先の会社で親戚から電話を受けた。「お前の会社、山一証券じゃなかったか」。

テレビをつけると、山一証券が自主廃業を決めたとのニュースが流れていた。「自主廃業って何なのか、意味さえわからなかった」と振り返る。

当時の野澤正平社長が記者会見で「社員は悪くありませんから。悪いのはわれわれです」と号泣しながら社員の再就職先を懇願した映像は、バブル経済崩壊の象徴的なシーンとして、何度も流された。

「山一がつぶれるなんて、だれも思わなかった。まさか、こんな大きな会社がいきなり」と齋藤さんはロイターに語った。

山一破たん後、前の上司の誘いでシステム会社に転職したが、2005年にサラリーマン生活を辞めて、好きなことを仕事にしようと、ラーメン店「ど・みそ」を開業。現在は、支店を10店舗経営するまでに成長した。

バブル崩壊後の「失われた10年」とも言われた景気停滞期は、多くの人にとって暗いイメージだが、齋藤さんは解放されたと感じたという。

「上に言われたことをやるのではなく、自分で考えてできるから、今はストレスがない」。平成という時代に転機が与えられたことは自分にとって良かった、と語った。

<将来への不安>

大規模な自然災害、技術の進化、そして先行きに対する不安──。これらが早稲田大学の学生・原田百合さん(19)にとっての平成だ。

2011年3月、東日本大震災が起きた時は11歳だった。学校から3時間かけて歩いて帰ったという。「衝撃だった。世の中の出来事で自分の生活がこんなに変わるんだと。学校は打ち切りになり、卒業式も延期になった」と振り返る。

小学生時代、携帯電話はガラケーを使っていて、スマートフォンが欲しかったが「信じられないくらい高いから、買えないと母に言われた」。中学生になり、スマホが安くなったので買ってもらった。「ほんとに技術的な進歩はすごい。それが平成の特徴かな、という感じがする」と原田さんは言う。

日本は今、歴史的な労働力不足に直面しているが、彼女は先行きはどうなるかわからないと不安を感じている。「ちょっと前の世代は、就職氷河期と言われていた。売り手市場がずっと続いてくれたらいいけど、不安に思っている人はたくさんいる」

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長期的には、社会が不安定化することが心配だという。4月に日本政府は新たな外国人労働者の受け入れ制度を導入した。しかし、欧州や米国で反移民の声が大きくなっていることが心配で「日本もちゃんとそこを考えてやっていかないと、将来同じようになるのではないかと怖い」と原田さんは話す。

元号が令和に変わり、新たに始まる新時代の見通しについては、「明るく見たいけれど、見れないというのが正直なところ」と語った。

Linda Sieg, Kwiyeon Ha,宮崎亜巳 編集:田巻一彦

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