December 13, 2018 / 4:24 AM / 3 months ago

コラム:拝啓メイ首相、ブレグジット協定案の救い方

[ロンドン 12日 ロイター BREAKINGVIEWS] - メイ英首相は12日、与党保守党が実施した信任投票で、党首としての信任を勝ち取った。次に首相官邸の高官らが取り組むのは、首相と欧州連合(EU)との離脱(ブレグジット)合意案を通すことだ。BREAKINGVIEWSは高官らの「架空の」手紙を入手した。

12月12日、メイ英首相(写真)は与党保守党が実施した信任投票で、党首としての信任を勝ち取った。ロンドンの首相官邸前で撮影(2018年 ロイター/Peter Nicholls)

機密かつ、あくまで私信

件名:ブレグジット救済

拝啓、首相

信任投票での勝利、おめでとうございます。保守党は信任投票の実施に必要な48議員の署名確保にも手こずっていたため、不信任に必要な158票が集まるとは、はなから思っておりませんでした。とはいえ、首相の政敵らが、内閣の面々にも増して無能であることが分かったのは心強いことです。

首相は、EU離脱合意案を守るための新たなアイデアはないかと尋ねられました。2年間以上も離脱協議を続けたのですから、あいにく策は尽きたと申し上げざるを得ません。しかしながら、貴殿が首相の座を守った今、われわれには合意案を救えるかもしれない提案があります。それには国民投票を実施する必要があります。

お待ちください。このファイルをゴミ箱に入れる前に、ご自身の立場をお考えください。離脱合意案は大差で否決される見通しとなり、首相は10日に議会採決を延期されました。欧州各国を目まぐるしく歴訪しても、成果はほとんどありませんでした。

EUから引き出せるのはせいぜい、北アイルランド関連のバックストップ(安全策)についての曖昧な約束か、法的な付属文書ぐらいのものでしょう。これでは党内の離脱マニアは納得しないでしょう。つまり、信任投票で勝利したとはいえ、議会が離脱合意案を否決しそうな状況は変わっていないということです。

決断を先延ばしして、反対派が折れるのを期待するという方法もあります。離脱日目前の3月28日まで待つことさえできるかもしれません。しかし待てば待つほど、混乱に満ち、打撃の大きい「合意なき」離脱のリスクは高まります。ポンドは急落し、経済にはさらに悪影響が及ぶでしょう。一方、野党議員が離脱プロセスを反転させるための投票によって邪魔に入る可能性は常にあります。また、首相の任期中に議会はもう一度、信任投票を行うチャンスがあります。野党労働党の党首、ジェレミー・コービンは箸にも棒にもかかりませんが、永遠にそうであってくれるとは限りません。

そこで国民投票のやり直しなのです。首相が腰を上げなければ、議会が実施に動くかもしれません。主導権を発揮し、ご自身で実施を求めた方が得策です。そうすれば実施時期も、投票用紙の質問事項についても手綱を握れるでしょう。国民への質問は、首相の離脱合意案とEU残留のどちらが良いか、というシンプルな選択にすることを提言します。「合意なき」離脱推進派は嫌がるでしょうが、今日の信任投票で負けた以上、首相を支持するしかありません。しかも労働党を窮地に追い込むことができます。コービン党首は、残留キャンペーンを張って離脱派の支持勢力を遠ざけるリスクを冒すでしょうか。

この戦略には確かに、いくつか欠点があります。第1に、首相は国民投票の再実施はしないと表明されました。しかし2017年に総選挙をしないと言いながら公示されたことがあります。悪い離脱合意よりは合意なき離脱の方がまし、と2年間おっしゃり続けましたが、今は後者が経済に深刻な悪影響を及ぼすと警告されています。今回の離脱合意にしても、これが最善とおっしゃった後にEUに改善を求められました。首相が再び心変わりしても、国民は驚きません。

最後に、国民投票では負ける可能性もあります。離脱すれば医療に回せる資金が増えると嘘の約束をしたり、トルコがEUに加盟しようとしていると言って脅しても、有権者の心は簡単には動かせないでしょう。EU残留派は前回より結束を強めるでしょう。離脱の代償についても、最終的に白状せざるを得ないかもしれません。

しかし驚くことに、世論調査によると、過去2年半の惨状を見た今なお、国民の約半分はEU離脱を支持しています。しかも今回、政府は残留ではなく離脱を訴えることになります。

首相はブレグジットを成し遂げたいとおっしゃり続けてきました。英国をEUから離脱させた首相として歴史に名を刻むのか、あるいは離脱させようとして失敗した首相になるのか。次期総選挙には首相として出馬しないと表明した今、前者になる最良の、そしておそらく唯一のチャンスは、国民投票のやり直しです。

敬具

ダウニングストリート最終手段部 

●背景となるニュース

*英与党、保守党が12日実施した信任投票で、メイ首相は党首として信任された。与党議員200人が信任、117人が不信任に投票した。

*少なくとも48人の党所属下院議員から党首交代を求める書簡が提出されたことで、信任投票が実施された。

*メイ首相は2022年に予定される次期総選挙に首相として臨まないと表明した。

*党規約では、今後1年間は信任投票の再実施ができない。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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