June 14, 2019 / 5:18 AM / a month ago

コラム:中東のタンカー攻撃、原油市場の反応が甘過ぎる理由

[ニューヨーク 13日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 恐らく世界全体の原油輸出量の4分の1は、ホルムズ海峡を経由しているだろう。だからこの地域でタンカーが攻撃を受ければ、トレーダーが不安に思うのは当然だ。

 6月13日、恐らく世界全体の原油輸出量の4分の1は、ホルムズ海峡を経由しているだろう。写真は2018年12月、ホルムズ海峡で撮影(2019年 ロイター/Hamad I Mohammed)

ただ13日に起きた攻撃後に、北海ブレントの価格は1バレル=61ドル強と、2.5%の上昇にとどまった。これは今後も関係国の冷静な外交的対応が続くとの確信に基づいた、穏やかな反応といえる。

折しも安倍晋三首相がイランを訪問中に日本などの2隻のタンカーが攻撃されると、ポンペイ米国務長官は攻撃の責任はイランにあると発言した。トランプ大統領が昨年、イラン核合意から離脱して以来、米国とイランの緊張関係はずっと続いている。核合意離脱後の双方のやり取りは、お世辞にも礼節に配慮した内容ではなかった。

以前のイラン関連の出来事とそれが原油価格に及ぼした影響を振り返り、安心感を得ることは可能だ。

米議会調査局はまさに昨年8月、そうした出来事が実際に起きる前にしばしば原油価格がある程度上昇したものの、事後には結局下げに転じたとの分析結果を公表。具体的には、1988年に米国がイラン海軍を攻撃したケースもこれに含まれていた。

原油輸出に短期的に支障が生じても、戦略備蓄放出で影響は緩和できる。中長期の話になれば、政府間の口げんかがいかに激しい内容であっても、市場の価格形成は需給動向に左右される面の方が大きい。

それでも今回は、より大きな懸念を持つべき理由がいくつかある。

1つ目は、米国とイランの関係が悪化の一途をたどっており、もしイランがホルムズ海峡を封鎖し、それが長引く事態になれば、原油供給に相当な悪影響が出てくるという点だ。

もう1つは最近の原油価格の振れの大きさにある。2018年秋に68ドルまで跳ね上がった後、同年終盤には50ドル台前半まで沈み、今春に70ドル台に戻して足元はまた軟調に推移しているだけに、この先反発しても不思議ではない。

別の言い方をすれば、金融市場のトレーダーは常に最善の結果を期待しているように見受けられる。

例えば米連邦準備理事会(FRB)がすぐにも数年にわたる引き締め路線を転換して定期的な利下げを開始すると見込んでいるが、現実的にはもっと慎重なアプローチになるだろう。トランプ氏が起こした貿易摩擦も、株式市場が想定するほど簡単に解決しないかもしれない。

原油市場に関しては、言葉の応酬を本当の軍事衝突にしてしまうほど愚かな振る舞いなどだれもするわけないとの前提に立った見方は、甘過ぎるのではないか。

●背景となるニュース

・ホルムズ海峡近くで日本など2隻のタンカーが攻撃を受け、その後も漂流中となっていることで、原油価格が上昇するとともに、イランと米国の対立が深まると懸念されている。ポンペオ米国務長官は、具体的な証拠は示さないまま、タンカー攻撃の責任はイランにあると述べた。

・米政府は、5月12日に同じ場所でサウジアラビアなどの4隻のタンカーが攻撃された際にも、イランを非難していた。

・イランと、米国およびその同盟相手であるサウジなどは昨年、トランプ大統領が核合意から離脱して以来、緊張関係が続いている。

・イランは繰り返し、米国の制裁のために石油が輸出できなくなればホルムズ海峡を封鎖すると警告してきた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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