November 18, 2020 / 8:47 AM / 9 days ago

コラム:SNSと銃器メーカー、迫る「免責」撤廃の時期

[ニューヨーク 17日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 銃器と会員制交流サイト(SNS)は幾つかの共通点がある。多くの人は責任をもって使用しているが、悪の手にわたれば危険な存在に変わる。それでもどちらの業界も、使う人の行為を巡って法的に免責されるという形で「不公正な公的補助」の恩恵に浴してきた。これは決して永続し得ない。

11月17日、銃器と会員制交流サイト(SNS)は幾つかの共通点がある。写真はフェイスブック、グーグル、ツイッターのロゴ(2020年 ロイター)

フェイスブック(FB.O)の創業者マーク・ザッカーバーグ氏と、ツイッター(TWTR.N)のジャック・ドーシー最高経営責任者(CEO)は17日、政治的投稿の規制が妥当かどうか検討する上院の公聴会に出席した。

問題となっているのは通信品位法第230条で、これによりSNSがユーザーによる投稿の責任を幅広く免れるだけでなく、「不快にさせる」コンテンツを特定し、そう表示する自由も許容する。フェイスブックを巨大企業へと成長させる一助となった第230条は今、コンテンツが社会にとって危険かどうか、ザッカーバーグ氏とドーシー氏に事実上の裁定権限を与えている。

銃器メーカーも手厚い法的保護を享受している。根拠となるのは「武器の合法的商取引保護法(PLCAA)」だ。これにより、銃犯罪の被害者は基本的にメーカーの責任を問えない。一方でスミス・アンド・ウェッソンやレミントンなどのメーカーには、例えば拳銃に弾丸が込められた状態にあると分からせるインジケーターを取り付けるなど、単純だが命を救える仕組みを導入する義務もない。そうした手抜かりの犠牲になるのが人命だ。今年に入って米国内で子どもによる銃の誤射が約250件発生したと銃規制推進団体は訴えている。

SNSも銃器業界も、法的保護がなくなれば劇的に変わるだろう。銃所有の権利を提唱する人々は、PLCAAがないと、業界で働く4万7000人が失業すると主張する。これは多分に誇張だ。ただ、訴訟が起きたり、安全装置導入が義務づけられたりすれば、法的なコストがかかるようになるし、銃生産はより費用がかさむようになるだろう。SNSにとっては、投稿監視をより積極的に進めれば、その分雇用が増える。ユーザーにとっては、フェイスブックやツイッターへの投稿はもはや「やりたい放題」ではないという社会通念に、よりなじんでいく必要が出てくる。

17日の公聴会から今後の動きを占うとすれば、バイデン氏の次期政権の下で通信品位法第230条は修正されてもおかしくない。半面、PLCAAの改変は見通せない。たとえ民主党が撤廃を望んでも、法案の採決に持ち込むだけでも上院議員100のうち60人の賛成が必要になる。とはいえPLCAAが排他的な利権と化した上に、銃規制を支持する有権者が増えていることから、「報い」を受ける時期はきっとやってくる。例えば来年招集される連邦新議会の上院議員には、銃器の安全性強化を熱心に求めるアリゾナ州選出のマーク・ケリー氏やコロラド州選出のジョン・ヒッケンルーパー氏(いずれも民主党)が含まれる。

フェイスブックやツイッターは、銃器メーカーよりすぐれている面もある。それは自分たちの免責条項が脅かされていると認識し、問題に対して先手を打とうとしているからだ。ドーシー氏とザッカーバーグ氏は、ともに通信品位法第230条の修正に歓迎の意を示した。そうすれば修正作業に加われるだけに、実に分別ある判断と言える。その意味では、免責条項という「魔法の鎧」が取り払われた後、SNSの方が銃器メーカーよりうまく生き残れる態勢を築けるだろう。

●背景となるニュース

*フェイスブックのザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)とツイッターのドーシーCEOは17日、上院が開いた「検閲、弾圧と2020年選挙」という副題がついた公聴会に出席。選挙に関連する偽情報や誤解を招くコンテンツの投稿を巡り、質問攻めにあった。

*ツイッターは大統領・議会選の投票日だった今月3日の前から、内容が不正確、もしくは、多くはトランプ大統領が投稿していたような、反論の余地が大きいと見なされる投稿を特定し、それと分かるよう表示する仕組みを導入した。12日時点で、大統領選に絡んだ警告件数は30万件に上った。

*ツイッターはまた、バイデン氏の次男ハンター氏に関する10月のニューヨーク・ポスト紙の疑惑報道をユーザーが拡散するのを制限した。上院司法委員会のグラム委員長は17日、こうした措置を巡り、ツイッターがまるで「最終的な編集者」のように振る舞っていると批判。記事配信者ではなくプラットフォーマーだとの考え方に対し、異論を唱えた。

*SNSは通信品位法第230条により、大半のユーザーからの投稿内容に責任を負わないことが認められている。ドーシー氏は17日、同社が230条の拡大などの改革を提案したとつぶやいた。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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